世の中には言葉では表現できないことがたくさんあります。
見てきた風景、聴いた音、その時の気持ち、あの場所の空気感とかあるときに感じた現実感とか、自分の思っていることを完璧に表現できないもどかしさ。
もちろん部分的には他人に伝えることができますが、言葉にした後には伝えたいと思ったことの殆どが失われています(私の文才の無さが問題かもしれませんが)。
もちろん、バイクや原付やカブに乗る理由だってそうです。
多くの人が(多分)そう思っているように、私も自分がカブに乗る理由のすべてを分かっていません。
――なぜ乗るのか。
「旅がしたい」「乗っていて楽しい」「弄っていて楽しい」「燃費」「カワイイ」「屋根に囲まれた車では味わえない感覚がある」etc...
と、表面的な理由はいくらでも挙げられるのですが、果たして本当の理由はこの中には無いような気もしてくるのです。
当然、自分でもよく分かっていないのだから他人にその感覚を伝えることなど不可能です。
似たような体験をした人にはおおよその感じを伝えることができますが、そのようなことがない人には10%も伝わらないだろうと思います。
特に考えたことがなかったとか、自分にはこれしかなかったとか、気がついたらずっと乗っていたとか、結局そういうありきたりな言葉になるのには、多分、理由が言葉にならないからなんだと思います。
最後に。
この世の中は、実際に体験することでしか味わえないことで満ちている。
(この記事は、前ブログ「heliumucublog(雨の音、カブの音)」からインポートし、多少編集を加えたものです)