工場で働いていると、次第に思考能力が削られる。
特に、作業しているときに考えていたことは、あまり思い出せない。
・・・シーラーを塗りながら、腹が減ってぶっ飛びそうな意識の片隅で考える。
そういや、この間の日曜日は母の日じゃなかったか。
電話の一本も寄越さないで、ろくでもない息子だと思う。
父の日も、1年か2年前にティファールを贈ったのが幼少期以来最初で最後だったかもしれない。
・・・働いて、車でも買って、温泉でも連れて行ってやりたい。
とっとと学校を出て、就職して、それで親孝行になったと思っていた自分が居る。
2人、これから何を楽しみに生きるのか。
一人息子は都会の会社に勤めて、成長を喜ぶというのも、もう無い。
ただ思うのは、きっと地元で就職して、そこそこの給料を貰って、そこそこに生きていればよかった。
しばらく働いて、ダメになったらとっとと辞める。
行動するには今は遅すぎで、早すぎる。
機は未だ熟さない。