常日ごろから山に登れば膝がイタい、膝がイタい、といっている筆者であるが、膝が痛くなかった登山もある。
それは2024年の晩秋に差し掛かる10月26日。
一の鳥居 → 武甲山 → 子持山 → 大持山 → 一の鳥居の周遊コースだ。
このときの話には前日譚があるので、そこから話を広げよう。
前日譚: 北アルプスの女王・燕岳
2024年10月12日(金)
仕事が終わったのち、武蔵野線と中央線で高尾駅までゆき、山仲間oshin氏の保有する往年の名車・パジェロ(ロング)に乗り換える。ミーという音がなるタイヤに耳をやられながら助手席で揺られ、oshin氏の運転で中央道を走っていた。
heliumu「燕岳ってどんなところ」
oshin「北アルプス三大急登」
heliumu「ほーん(はなほじしながらお絵かき中)」
たしかiPadで絵を描く練習をしていたように思う。
乗り物酔いに極端に弱いのだが、高速道路は視線のスタビリティがあり、あまり酔わない。
あとパジェロのタイヤがうるさすぎたのも、外界からのノイズが遮断されて効をなしていた気がする。
▲ ここらへん
日が回って1時くらいに穂高駅の駐車場に到着して、いそいそとパジェロの座席を倒して卒倒。腰の部分がソレて、なんとなく腰が痛い気がする。いや、慣れない体勢なだけで実は痛くないのかもな、なんて考えていたら5時45分になっていて起き上がる。
スーパーで買ったふかし芋を食って、眠い身体を叩き起こす。
駅のバス停からは違法も違法な左前輪スリスリバス(他3輪はまとも。なぜ。)に乗り込み、ドッコらしょと中房温泉まで30分。乗り込んで5分くらいしたら寝てしまい最初と最後しか記憶がなく、気がついたら中房温泉までの登り路面でスタックしている自家用車と、バスの運ちゃん連合が共闘している場面から記憶が復活している。切り返しができないのか、転回できないのか10分ほど止まっていた気がする。
無事に山場を乗り越えて中房温泉。
うんこをして、服装の調整をして、8時20分にクライム・オン。
he「えっ、めっちゃ登るやん??」
os「やから三大急登いうたやん」
he「えっ(聞いてなかった)」
という一幕がありつつもなんとか斜面を登りきり、このエッチルック。
おれたちは心から疲れました。
でも登ってきたからにはいいことがある。
ケーキ1。
1としたのは、下りでも食べるから。
山に登るにはエネルギーがいるわけで、エネルギーは糖か、脂肪か、筋肉から生成され、このうち直接"キく"のは糖。そして単糖類。つまりケーキ。
でな、ここに来るまでに実はぜんざい(おしるこか?)と、昼飯としてのカップ〇〇と、あとは「みなさまのお墨付き ごぼうチップ トリュフ風味」を食べました。コレがうまい。SEIYUで買えます。
糖分もさることながら、塩分も無いといけない。
塩分が不足していると脱水が起こり、痙攣、発熱、それから頭痛など、早い話が熱中症になる。
メカニズムは簡単。
工順 | 作業指示(?) |
---|---|
1 | 水分を取ると体液の濃度が薄くなる |
2 | 身体は、薄くなった体液のうち水分を尿として排水しようとする |
3 | 水分不足、つまり血液量が不足 |
4 | 発汗するための水分が不足し、発熱する |
こうなると心臓は、熱を逃がすために(発汗させるために)皮膚表面に血を送る+不足した血流を補うために心拍数を上げる。末端まで血液を送るために血管が収縮し、血圧が上がる。よって頭痛がする。
また、筋肉側に流れる水分が少なくなり、筋疲労が増えたりする、らしい。
というのは次の図書が詳しいので、登山愛好家はぜひ一冊懐に仕込んでおくと山で防弾チョッキになるだろう。
また、この本の著者はYAMAPなどに表示される「登山指数」を定義づけた方なので、内容に間違いないことを補足する。
▲ 2,300〜2,500m付近から燕山荘方面
さて、熱中症の雑学のほか、もう一つこの本に譲りたいものがある。
今回トレースした燕岳の合戦小屋ルートは初心者向きっちゃ初心者向きの十分に整備されたものである。だがここは天下の北アルプス。高度2,500mを超えてくる。
私はどうも高山病にかかりやすい体質らしく、例に漏れず2,300mを超えたあたりから頭痛が<痛み>だした。
こうなるとひっひふーと呼吸を荒くしたくなるが、敢えてゆっくりと呼吸するのが良い。このあたりの対処方法も載っているのでぜひ手に取ってください。
時間を戻して夕方の燕山荘周辺。
山の世界ではもう晩秋かな。この週末を逃すと多分雪の世界。風が冷たい。
これまで登ってきた山のどれも素晴らしかったけれど、ここは格別素晴らしい。
もちろん、もっと現実離れした世界は日本にもまだまだ転がっているとは思うが、コースタイムにして片道8時間(多分我々は6時間くらいか?)の道程でこんな世界が味わえるのだから、登山とはつくづく高コスパな趣味だと思う。
誘ってくれたばかりではなく、タイヤがうるさいパジェロを出してくれたOshin氏には大感謝。
あとはよちよち歩く雷鳥をお目に入れたり、もしかすると燕岳の開山以来初めてとなるかもしれないスシ・ナイトをしたりした。もしスシ・ナイトしたことがある方がいましたらコメントください。今度一緒にやりましょう。
燕山荘の休憩コーナーでストーブに当たりながらねるねるしていたが、途中から本を読んでいたおねえさんなどのギャラリーが来て大盛り上がりした。俺達は(俺は)特にうるさかった。
燕山荘は20:30に消灯する。
ちょっと話の流れから前後するがどデカい食堂でメシもあって、生野菜が出てきて、まさか山の上で生野菜!と2人してびっくりしていた。歩荷さんのちからも借りながらヘリで荷揚げして、ゴミもすぐに下ろして環境保護。そんな話をする燕山荘グループの社長の話が面白かったように思う。語りが面白くて、もしかしてすごい人なんじゃないか?と思って一緒に写真を取ってもらった(実際に山荘を経営してるからすごい人)。
外に出て槍ヶ岳方面。
空の色は落ちた陽の色なのか、このとき日本各地で見られたオーロラの色なのかは定かではない。
まだまだ続きます。アルプスの女王 2日目。
朝になったら燕山荘でメシをいただだいて、それからカメラを持って朝日に染まる世界をぼんやり眺める。
燕山荘をぐるっと巻いて南西の方角。
この道を進んで大天井岳、西岳、東鎌尾根を経由し、槍ヶ岳まで至るのが「表銀山縦走路」。
いつか歩きたいが、そのためには膝の痛みを克服せねばならない。


▲ 左手画像参考: 槍ヶ岳方面の案内。テント泊もしてみたい。
ザックをデポして燕岳へ。
社会人になってからザックをミレーのPRO LIGHTER SUMMIT 28(もう廃盤かな?今は30Lが出ている気がする)にしたが、そろそろきつい。クライミング用の軽量ザックで、ヒップベルトは重みを受け持たずに横揺れ防止程度の意味合いしか無い。
だいたいデザインで選んだから仕方がないとはいえ、もう少し考えるべきだったとも思う。


▲ 燕岳山頂 / 槍ヶ岳もよく見える
一度燕山荘に戻ってきてザックを回収したら、今度は大天井岳の方面へ。
結局は大下だりの頭まで行って引き返してきたが、体力的・時間的な問題と、あとは膝の痛みが理由だった。大天井岳まで行きたかったが、この膝には登り返しが最もきつい。
燕山荘まで戻ってきてケーキ2。
楽園のようなんだぜ。
パキパキ下っておつかれやま!!
地面のグリップが良く、バランスも崩しにくくて快適下山でした。
バスに乗って穂高駅まで戻り、焼き肉をすすり、それからミーミーいうパジェロでどかんかタコ(通称どかタコ)運転しながら、薄汚れた関東平野に帰宅。自分で書いていて悲しくなってきた。ああ山が恋しい。
この記事はここからが本題なんですが、記事の長さはすでに80%に達しています。
2024年10月26日
覚め止まぬ山への情熱(大したものではない)は人を動かす。
燕岳に登った2週間後、ムッこれは山に登るべきだ、と思いついて身体が行動を起こしていた。
2時間バイクで爆走のち、秩父。
皆様だいすきライトウェイト登山の武甲山。
そこから今回は大持山、子持山と回ってみた。
このときからYAMAPを試験的に導入。
今(2025年5月)見返すと、ふと思い立ってコース定数27を登ったのは凄まじいといえる。
きっと2週間前に燕岳に登ったことで鍛えられていたのだろう。
冒頭にも書いた通りでこの登山は膝が痛くならなかった。
この記事を書いているときは整体にも通っていて、医者に色々と話を聞きつつ自分でも試してみるなりして、膝の痛みの真理にかなり惜しいところまで近づいている気がする。
ということで、この登山で膝が痛くならなかった考察。
- 階段が多くない。
- フィジカルが強かった。
- 内側重心の歩き方。
私の膝の痛みは半月板とかそういうやつじゃなく、足の外側にある坐骨神経が、周りの筋や骨と擦れるなどして発生しているらしい。
その原因は、周りの筋肉が引っ張っている事にあって、要はストレッチ不足が根本原因にあたる。
中間的な作用として、上に上げた3つによってある程度対応できるというわけだ。
つまり、大前提として日頃からよくストレッチして、日頃から山に登って筋肉を鍛え、歩き方を意識しておけばいい。
簡単に書けて、実行するのはなかなか簡単ではない。
そんなところで6000文字。書き終わればほとんど燕岳の話になっちまった。
最初は武甲周遊の話だけしか書いてなかったのに。
それほどまでに、特別な山というのは特別なわけだ。
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