今日、或る人の訃報を耳にした。
人見知りが激しい私であるが、一度会ったその人のことをよく覚えている。
我々旅人を温かく出迎えてくれ、時には叱咤してくれる方だった。
こんなことを思った。
「時間、止まんない。」
今まで生きて来て、曾祖母が逝って、伯母が逝って、なんとなく時間が過ぎていった。
学校に行っていても、アルバイトしていても、バイクに乗っていても、体感的な時間の変化は殆ど無かった。
しかし、ここ3ヶ月ほどの間に、それが急に感じられるようになった。
怖かった。
昨日まで、手を伸ばせば届きそうなところにあった記憶は、今日にはもう海の底に沈む。
鮮明だった記憶は日を追うごとに霧がかり、その時間があったことさえ忘れてしまう。
今、その人の遺影は、旅人が笑い、語り合う場所に置かれているという。
ありがとう。
(この記事は、前ブログ「heliumucublog(雨の音、カブの音)」からインポートし、多少編集を加えたものです)