前回: カブC50E系の純正流用FI化#6 (トラシュー:エンジンが吹けない) - 青パーカーの書き散らし
前回はエンジンが吹けない問題を解消しました。
ここからはセッティングを詰めていきます。
1. 状況
各記事に追記する形で変化点を記載しているので、時系列が前後してしまっているかもしれませんが現在の状況をメモがてら記載しておきます。
- エンジンはHA02Eベースの97cc。LONCINの125ccが初期の故障なのか異音が出て走らなくなったため
- スロットルボディはタケガワの24mm
- インジェクターはJA07純正へ変更済み
- ECUはJBH-AA01+ENIGMA。API TECHのフルコンが壊れたため
- 油温センサーは固定抵抗から純正品に交換。シリンダーの外壁に固定
2. 実験風景
2-1. 初期セッティング(近所を走りまくる)
最初は、車が通らない田畑の道を行ったり来たりして、できるだけコンディションが同じになる状況でセッティングを進めます。
アクセル開け始めのセッティングがうまく決まらなかったため、先に全開で走れるようにしてから開け始めのセッティングを何往復もしました。
冒頭の写真は@osshin10さんに試乗して頂いた際の写真です。
普通に走ってビビったとお褒めのお言葉を頂きました。
2-2. 耐久試験(埼玉-小浜往復)
三国峠にて
バイパスで巡航しても周りの車の流れに乗れるようになってきたら、今度は長距離の試験を実施しました。
夏にツーリングを予定していたため、その出先で何も起きないように先に耐久力を確認します。
道の駅親不知ピアパーク
17号で夜中に親不知まで抜けて、その後は日本海沿岸を南下して小浜、復路は岐阜・長野の渓谷を走りました。
途中で大雨に降られるなど、バリエーションに富んだ状況の中走れたはずです。
他には、滋賀草津高原道路を走ったり、鈴鹿8時間耐久ロードレースを見に行ったりしました。
これだけ走っても(FIの仕組みには)問題は見つからなかったです。
3. 結果
3-1. 事象1:巡航とアイドルで燃調がずれる
アイドリングに燃調を合わせると巡航するときに燃調が狂います。
実はこのときはLAFモニターが無く、キャブレターでセッティングを出すときと似たように感覚でセッティングしていました。
なので体感になりますが、アイドルさせている状態=油温が高い状態からの出だしは良いのですが、暫く巡航して風が当たるような状態になるとモゴモゴと濃いフィーリングになります。
3-2. 事象2:アクセルの付きが悪い
アクセルを捻ると、普通の125ccくらいのバイクなら「バァーン!」というような軽快な音で吹け上がっていきます。
しかし、このCLは「ぅ..ぐにょーーオオン!」というような最悪な感じで、スロットル全OFFから開け始めのレスポンスと加速が悪いです。
また、開け始めだけではなく、巡航状態から再加速するときにも似たようなフィーリングになります。
4. 考察
4-1. 事象1 推定原因:油温センサー
▲こんな状態でシリンダーのフィンに叩いて刺しています。
古いカブのエンジンなので、もちろん油温センサーを取り付ける場所はありません。
なのでシリンダー外壁にこのような形でシリンダーのフィンに挟んで固定して居るのですが、恐らくこれが問題です。
しっかりとやるならばエンジンオイルが回る経路に穴を穿ってねじ切るのが良いですが、エンジンをばらしたくないので目をつぶり、なるべく走行風が当たらないようにカバーすることにします。
4-2. 事象2 推定原因:吸気経路の問題
アクセルレスポンスが悪い事象は往々にしてキャブレターでも発生します。
以下二点の理由を考えました。
- 燃調が濃い
- 吸気管の問題(長い/流速乱れ)
最初は1を疑ってめいいっぱい薄くしてみましたが大した変化はなし。
JA07純正のインジェクターがいけないのかと思いリトルカブ純正に戻してみましたが、そうするとENIGMAの最大増量2500usでも進まなくなってしまったためインジェクターは適正と考えました。
▲現在のスロットルボディの取り付け方
そうなると2の方ですが、キャブのベンチュリー < スロットルボディと吸気経路が長くなっていること、並びにマニホールドとスロットルボディの間に大きな段があることが気がかりです。
▲ スロットルボディの終端(エンジン側)がこの様になっているため、キャブのジョイントとマニホールドを使用するとホワイトボードの図解の通りに乱流が発生することとなります。
FI スーパーカブのマニホールドを観察して分かったことを記載しておきます。
- 流路が短い
- 流路のカールが少ない(カーブの半径が大きい)
- スロットルボディに取り付けられたインジェクタがちょうどポート直噴になるように配置されている
- ヘッド側の取り付けピッチがキャブと異なる
そうしたことから、実物から簡単な図面を描いてキャブのシリンダーヘッドにFIのマニホールドを取り付けられるキャブからFIの変換マニホールドスペーサーを自作しました。
写真は皿ネジ加工が浅いのでもう少し加工しています。
取り付けるとこんな感じ。
これで当初目論んでいたキャブレターのマニホールドを使用してスロットルボディを取り付ける案は廃案となりましたが、無事に取り付けられました。
吸気口と場所が合わないのでジップロックでエアクリボックスを作りました。
フィーリングの変化は20%くらい改善といった感じです。
これ以上考えられることもあまりなく、ひとまず完成の様相となります。
終焉に<オワリに>
さて、ここまで頑張ってきた97ccのエンジンですが、滋賀草津高原道路を登っていたところ焼き付きました。
そんな感じで、夏のツーリングには新しく購入したLIFANの125で行くことになりました。
次回は、ここまでで得られた知見をまとめておきたいと思います。
次回: カブC50E系の純正流用FI化#8 知見 - 青パーカーの書き散らし
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