青パーカーの書き散らし

宗谷岬でまた会おう。旅の記憶と知識の記録。

【ぬこでも分かる!】キャブがガソリンを吸う仕組み!!

エンジンの腰上オーバーホールも済んだため、そろそろF24を本格的にセッティングをし始めました。
これまでは50ccや72cc、80ccといった排気量にPB16をつけて走っていたため、かなりセッティングに対する応答が判り易く、正味のところキャブの基本原理なんて知らんでも走らせることができました。
が、オーバー100ccにレーシングキャブを導入し、しかもどこを見てもセッティングデータが無い。
とりまPB16で培った(笑)知識でF24と戦うも、絶対的な知識量の不足を感じたので、ベルヌーイの定理からやり直しています。
 
と、いうことで。
以下はその覚書とスロー系のセッティングのはしりです。
ぬこ(猫)でも分かるって言いましたが、正直メチャクチャ賢いぬこじゃないとわからん気がします。
 
 
キャブレターの基本原理は、ベルヌーイの定理に準拠します。
例のごとくベルヌーイ氏が考えた理論なわけですが、これは気体版エネルギー保存則と言い換えれる理論です。
 
そもそもエネルギー保存則とは、『運動エネルギーと位置エネルギーの総和は一定』であることを示す法則であり、高等教育を受けた野郎なら誰でも知っている基本法則であるはずです。知らない人はブルーバックスでも買うといいかもしれません。
このエネルギー保存則を流体に置き換えると、『動圧と静圧の総和は一定』となります。動圧は『流体の速度(流速)によって生じる運動エネルギーを圧力の単位に変換したもの』であり、また静圧は『静止している流体の圧力』を意味します。
 
つまり、流体の分子数が途中で変化しないような場所(例えば管の中)では、流速が速い部分は流速が遅い部分よりも圧力が低下するということ。イコール”負圧の発生”。
因みに、この原理のことをベンチュリー効果といいます。例のごとくベンチュリーさんが考えた機構です。


さて、これを踏まえた上で図1に示すキャブの構造を見てみます。
ここでは固定ベンチュリー式、及び負圧連動型の可変ベンチュリー式は取り扱わず、ピストンバルブ型(PB、PC、TM、PWK、エトセトラ)を扱います。
 
図1 ガバガバキャブ断面図
(以前あんま理解してないままに描いたのでいろいろとおかしく、後に修正する予定)
 
図2 スロットルバルブとピストンバルブ(スライドバルブ)

狭義ではスロットルバルブとピストンバルブは区別されますが、広義では混同されて、ピストンバルブもスロットルバルブと呼ばれることが多い。
因みに、ピストンバルブ型のキャブレターは、アクセルワイヤーに直接ピストンバルブが接続されています。
可変ベンチュリー型はアクセルワイヤーにはスロットルバルブが接続されており、これを開けることで発生する負圧によってダイヤフラムを動かし、ピストンバルブを開閉させています。
固定ベンチュリーは、この負圧でピストンバルブを開閉させる機構すら無いものを指します。

さて、先程までの理論の話と図1を見ると、『ピストンバルブを上下させることで吸気経路の断面積を変化させ、ベンチュリー効果によって発生する負圧の大きさを変化させているんだなァ』的なことが分かります。
とにかくキャブレターというものを理解していくためには、『負圧を発生させる方法』をまず理解すべきと考えます。次に、今言った負圧の大きさのコントロール方法。


で。

負圧の発生を理解できると、次は『ジェットからガソリンが吸われる』理由がわかります。
ピストンバルブによって絞られた吸気経路では負圧が発生し、キャブレターメインボアのIN側の気圧との差が発生します。フロートチャンバー内の油面は大気圧で押下されているはずなので[要出典]、勿論ピストンバルブによって絞られた吸気経路との圧力差が発生する。これによってジェットからガソリンが吸い出され、メインボアに吹き出す。
(因みに、エンジンによってキャブレターメインボアから空気が吸われているため、無限大の断面積を持つ大気と有限の断面積を持つIN側では流速の違いが発生する。よって、IN側の気圧もまた大気圧よりもやや小さくなるはず[要出典]。)

以上がキャブのガソリンを吸う仕組み。


これを理解しないままにセッティングをしようとすると自分のようになる。
PBやPC型、ヨシムラのMJNシステムはセッティングが簡単ですが、ちょっとセッティングを煮詰めるにはこうした知識が必要だと思います。
レース用のキャブなら然り。


次回はスロージェット(SJ)/パイロットジェット(PJ)とエアスクリュー(AS)の関係を予定しています。

ここ数日のセッティングをしてゆく中で感じた疑問や感触を自分の覚書としているだけなので、信頼に足る文献とは言えないはずです。
本記事の参考文献は特になく、しいて言えば語句の確認に辞書やペディアを使うくらいなので記載しません。
あと、これを鵜呑みにして流体力学とか熱力学のテストを落とした人が出ても責任は取りません。
僕は情報と電気の専攻ですので、悪しからず。

 
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