前回: カブC50E系の純正流用インジェクション化#1 - 青パーカーの書き散らし(旧:heliumu-cublog)
続き。
前回洗い出した問題について検討を行っていきます。
メールを読み返すと2021年の7/11にタイ王国にECUの注文をしているようなのでまずはそこから。
何から手を付ければ良いかわかららんのですが、半ば妄想の範疇から始まったプランなので、できることからやっていきます。
ECUとは
昨今では、ECU=Electric Control Unitと定義されていて、一つの自動車(四輪)に20〜50くらいのECUが搭載されています。
トランスミッション、ブレーキ、VSA、各種電装、ADASなどなど、、、様々な分野でコンピュータが必要なのですが、最初期はEngine Control UnitのことをECUと呼んでいました。ここで扱うECUも、このEngine Control Unitのことです。
エンジンは御存知の通り、良い圧縮、良い混合気、良い火花の3要素が揃って初めて燃焼サイクルが安定するので、これらを作り出す=自然現象を制御する仕組みが必要です。
加えておくと、それぞれの「良い」というものは「そこそこの」という意味ではなく様々な理論の上に条件があります。一例を述べると、良い混合気ならば最もパワーが発生するガソリン対空気比率と最も燃費が良い比率は異なります。
キャブレターとインジェクションの最も大きな違いは、良い混合気を作り出す方法であって、その制御を行うのがECUです。
キャブレターは、ベンチュリー効果による気圧差を利用したガソリンの噴出現象とその経路のサイズ調整によるガソリン噴出量の調整によって良い混合気を作り出すのに対し、インジェクションはガソリンの圧送・噴射とその電子制御による良い混合気の生成という違いがあります。
また、インジェクション車では、点火タイミングを制御する機能も同じECUが持つことにより良い圧縮の制御も行います。良い圧縮とは、適切なタイミングで点火することによる実圧縮のことを意味します。
ECUがエンジンを制御するために必要なもの
▲カブ(JA10)のECU
先に述べたとおり、ECUは混合気比率と点火タイミングを制御します。
噴射させる燃料の量をECUが計算するために最低限必要なのはアクセルポジションとエンジン回転数です。また、どのタイミングで燃料を吹くかの制御は燃え残りを発生させないために重要です。この部分は点火タイミングの調整にも関係しますが、必要なものはピックアップパルス(クランク角センサ)です*1。
ベンチュリー効果などの大気圧に対して減圧した空間を作り出して燃料を吹き出させるような機構はインジェクションには無いため、インジェクターが燃料を適切な量噴出するためにはガソリン圧送用のポンプが必要です。
しかし、このポンプは常に駆動しておいてもリターンから戻るだけで問題ないので、センサーの部類は不要です。メーカーのECUだとインジェクションの噴射に合わせて駆動してたりします。
それ以外は補正に使用するセンサー類なので、理論上は無くても大丈夫なはず。
補足として書いておくと、ECUは四輪車用や二輪車用、それどころか車種ごとに様々なものがありますが、この3つの値を投入してインジェクションの噴射とIGパルスを出力できるシステムならなんでもOKなので、自作でも良かったりします。
先人のブログを紹介しておくと、こんな感じのがあります。
マイコンから書くこともできますが、今はArduinoが便利です。
ユーノスロードスター(NA6CE) - SH7125でECUの自作
カブ界隈であればここらへん。
解析まもログ
[カブ] ECU(PGM-FI)エミュレータの製作 -
・・・やってることはすごく単純だし、プログラムも大まかには何を掛けばよいのか想像できるのですが、対して作業量が非常に多そうだなぁって予感があるので今回は怠けることにします。あとはコネクタが入手しづらいらしいので。。。
ECUの選定
ということで。
手始めにアリババとebayを探してみましたが、カブ用のECUでめぼしいものはありませんでした。
そんななか、タイの大手ECサイトshopeeでAPI TECH社のECMというものをハケーン(死語)。
その、、2記事目から純正流用じゃないじゃん!ってのは最後まで読んでいただければ解決すると思います。
ちょっと情報が合っているかわからないんですが、STEP4とSTEP3があるみたいで、STEP3が2012-17のMSX(グロム) 、2011-17のWave 110i、2012-17のWave 125i、Dream Supercubをサポート、STEP 3がWave110iのตัวเก่าとWave125iのบังลมをサポートしているみたいです。読めません。
Wave110i/125iのECUがどのようなピン配置になっているかわからんのですが、買ってみなければどうにもならないのでSTEP4のほうを買ってみることにします。
ちなみにshopeeはshopeeがサポートしている地域でしか会員登録できないみたいです。あの手この手を使って登録できないか試しましたが無理でした。なのでHISの代行サービスでタイ在住の人にサワーデッカーして、あとは怪しいサイトで決済して買ってもらいました。海外でなにか買う際は「最終手段代行」です。私はメールくらいなら英語OKなのですが、直接やり取りするにもツテが無いのでできません。
7/11に代行手配、翌日に決済を行い、発送が7/21、7/30に到着しました。
ECUだけではセッティングできないので、ECUとPCをつなぐケーブルと、出先でのセッティング用にBluetoothモジュールも購入しました。合計THB 8,720。高え。
先にネタバラシをしておくと、このECUは理由不明でぶっ壊れ、結局カブの純正ECUを使います。
今回はここまで。
次回: カブC50E系の純正流用インジェクション化#3(エンジン/マニホールド) - 青パーカーの書き散らし(旧:heliumu-cublog)
追記: 右ウインカーを出したらECUが壊れた
セクションタイトルの意味が不明ですが、エンジンが動くようになりいざ走り出そうと思って右ウインカーを出したらエンストしました。
そこから2週間くらい何をやっても燃料ポンプが動かず、試しに純正ECUに変えてみたら動きました。
なのでAPI TECHのECUは使っていません。
Twitterもやっています。
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*1:補足: あくまでもエンジン回転数とアクセル開度からの算出方法(Honda的にいうとθTH-Ne)に限ったハナシです